FM東広島に出演してソーラーシェアリングの話をしました

このところソーラーシェアリングがらみでの人のつながりが活発になりつつあり、今回はじめてラジオでソーラーシェアリングについて話をする機会を得ました。2020年1月30日午後3時から「FMひがしひろしま」の「クールチョイスNOW」という番組。環境省提供の期間限定番組ですがなんと今回が最終回というめぐり合せで最後の締めとして市民の皆様にソーラーシェアリングについて熱く語りかけました。インタネットやスマホでも聞けましたので、もしかしたら日本各地にも聞いて下さった方がおられるかもしれません。環境問題にも詳しいパーソナリティの井上さんと対談しながら、楽しく正味30分の話を進めることができました。録音CDもいただきましたがネットでの公開が不可なのが残念です。ざっくりとした内容は下記の様です。

1.わくわくソーラーファーム」はどんな農場で、そもそもソーラーシェアリングは何ですか
自称「自然エネルギー農家」。10年余り前に平均的な中山間地域の1ha水稲農家を相続、典型的赤字農業で後継者の見通しもないが、里山の多面的機能の維持は期待されている。そんな中でソーラーシェアリングにめぐり合い、採算が大きく好転したばかりか、発電設備の農業施設化で様々な創意工夫が生まれ農業が俄然面白くなってきた。
ソーラーシェアリングは太陽光を発電用と農作物栽培用にシェアして使う仕組みの造語。法律的には営農型太陽光発電、海外でもこの言葉に近いAgri-PVと呼ばれている。千葉県発祥で、現在日本全国約2000個所の設置があり、最近は中国や韓国のほか米国でも評価急上昇。マサチューセッツ州では、「Agri-PVは再生可能エネ発電で農地を守りつつ、温室効果ガスを減らし同時に農家所得の分散にも貢献する」との考えで、小型設備ほど高く固定価格で買い取り、Agri-PVには6セントも上乗せするなど積極的に推進している。
2、ソーラーシェアリングを始めたきっかは何ですか
構造的な赤字農業で農地維持の意欲も低下気味の2011年。3.11の東日本大震災と原発事故が再生可能エネルギーでなにかできないかとアクションを迫った。先ずは不採算とも思われた東向きの屋根に太陽光発電を設置。それが予想以上に高実績で、再生可能エネルギーの意味と面白さに目覚めた。その後耕作放棄畑での野立て型発電設備の設置を経て、2013年4月の通達で厳しい条件付きながらも農地の部分転用でのソーラーシェアリングが公認され、俄然興味が高まった。もしこれができたら、農業が継続できるかもと・・・
3.「わくわくソーラーファーム」の設備と仕組の概要を教えて下さい

里山の多面的機能維持をもとめられる小さな農業にこそソーラーシェアリングを!

里山の小さな農業にこそソーラーシェアリングを!

10a余りの農地の内800㎡の上空3mに短冊状の細長いパネルを333枚設置。52本の柱は建築足場用単管で四方向に斜めの筋交いの単管で強度を保っている。太陽光の33%が発電用に、残り67%が地上に達して野菜栽培に使われる。発電は年間5万kwh余で約15戸の家庭消費電力を賄えるし、非常時には一部を家庭用コンセントに切替もできる。
4.パネルの影の下で本当に農作物はできるのですか
当初は半信半疑。発祥地千葉の先進農家の見学で自信。農作物ごとに必要な光量は異なり真夏の太陽光を3割程度遮光してもトマトに必要な7万ルクスは確保でき、トマトができれば大半の農作物は育つという光飽和点の理論で納得。実際に当方の畑でも4年間の実績で、ミニトマト、オクラ、枝豆、ブロッコリー、レタスなど問題なく美味しく育って産直に出荷している。但し、確実な営農のためには、遮光率33%以下でパネル高3m以上の仕様での設計が重要なポイントとなる。
5.ソーラーシェリングの利点について教えて下さい
一つの畑から電気と農作物が同時に収穫できること。ハイブリッド農業であり農地の有効活用でもある。さらに農家や地域が元気になり、造成が不要なので環境破壊もなく脱化石燃料にも貢献。
支柱や梁を活用して、例えばトマトの吊り下げ棚常設や1ミリ目の防虫防鳥ネットで畑全体を覆うなどなど様々な創意工夫が生まれる。最近はオフグリッドミニ太陽光発電の電気を使って水気耕栽培でレタスを育てている。環境意識も高まり、環境負荷の大きい窒素化学肥料にかえて米ぬかとモミ殻でボカシ肥料を作成して施肥するなどエコアグリ指向も。

※番組冒頭と中休みで流す曲には、映画「2001年宇宙の旅」から①映画の冒頭の類人猿が道具の使用に目覚めたシーンで流れたリヒャルトシュトラウスの「ツワラトストラはかく語りき」➁その後人類の文明が一挙に展開して青い地球をゆったりと回る宇宙船のシーンで流れたヨハンシュトラウスの「美しく青きドナウ」をリクエスト。石油文明から自然エネ時代への大転換に重ねて・・・

6.ソーラーシェアリングが地域を元気するとありますが、それはどんな意味でしょうか
2018年に京大と日立がAIによる日本の未来をシミュレーション。10年以内に地方分散を選択しないと出生率格差等が悪化し2050年の日本は財政環境とも持続不能に。地方分散選択しても今から20年以内に自然エネルギーの地産地消と資金の地域内循環が確立しないと2050年には持続不能の予想。
東広島市の農地の10%にソーラーシェアリングを設置すると、約19万人市民の生活用電力がほぼ100%自然エネで賄える上に、毎年市民の電力購入資金約95億円が域外や中東諸国に流出することなく市域内にとどまり拡大循環をはじめる。それは同時に4千カ所の防災発電拠点が実現することでもある。農家、市民、地元事業者、地元銀行が元気になり固定資産税等の税収増にも。小さな農家がソーラーシェアリング設置で「半農半エネ+X」の楽しい里山ライフスタイルに目覚め様々な発信が若者の里山定着を促進して、多面的な自然循環機能の維持にもつながる。小さな農家が絡むことで面として広がり、きめ細かな防災発電拠点になると同時に新規就農者やIUターン者へのインキュベータ的拠点にもなる。
7.ソーラーシェアリングに興味がある人はどこに問い合わせしたらよいか
農水省サイト「営農型発電設備Q&A」。平易な解説と豊富な事例では、「Earth Journal ソーラーシェアリング特集号」が500円程度でアマゾンで購入できる。2017年版には当方の事例記事も掲載されている。一番のお薦めは当方「わくわくソーラーファーム」を見学に来てください。
8.最後にリスナーの皆様へのメッセージ
これから将来を考える上で重要な言葉は「Tipping Point」。小さな変化が突然激しい変化になり後戻りできなくなる重大な節目のこと。気温は10年毎に0.2度上昇、産業革命以後の上昇を1.5度に収めるための猶予期間は10年から20年。気候危機が対処不能になるまで残り時間は少ない。自然エネへの劇的な大転換が待ったなしで必要。一方、自然エネ大転換へアクションを起こせば農家や市民そして地方が元気になるのはドイツやデンマークを見れば分かる。人まかせでは何も変わらない。世界の最新情報に自ら敏感になり、再生可能エネを自ら体験することで意識が変わる。ミニオフグリッド発電やそれを活用した家庭水耕栽培など安価に楽しむだけでも意識が変わる。わくわくする再可能エネで日本を元気に、そして子供たち世代の未来が持続可能なものになることを願って・・・

 

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