広島大学主催の公開シンポジュウム「里山とエネルギーと地域」にコメンテーターとして登壇

本来なら3月9日に予定されていた標記の広大主催シンポジュウム、コロナに流されて約半年後の10月24に広大総合科学部第一会議室で人数限定のもとで開催された。3月当初は市内のホールでシンポ開催後、翌日は市内野外研修としてバイオマスセンターや当方の「わくわくソーラーシェアリング・ファーム」の見学も計画されていたが、依然コロナの終息が見えない中、シンポジュウムのみの縮小開催となった。

シンポジュームは東広島市長による最近の東広島市の環境政策について幅広い説明から始まった。当市の環境政策は2015年の環境先進都市ビジョンの策定あたりから活発化し、以後、2017年バイオマス産業都市認定、2020年の今年に入って新電力としての東広島スマートエネルギー株式会社設立、そしてSDGs未来都市選定へと続いている。バイオマスは市域の62%を占める山林の整備と有効活用が目的だが今のところバイオマス発電を目指すものではなく、チップやペレット化等による熱利用が主体の様だ。今後の目玉としては、東広島スマートエネルギー株式会社が、新電力としてどんな活動を展開するかが注目される。新電力がアグリゲーター的役割で地域の様々な再生可能エネルギー電源をネットワーク化し地域マイクログリッドとしてエネルギーの地産地消を進める姿が、近未来で実現することを期待したい。

続いて、地域マイクログリッドに関する講演では、広島大学工学部の餘利野教授の新型インバータ(SSI)の話が気になった。水力や火力など従来型発電所では大重量のタービンを回転させて発電しており、回転動力が一瞬停止しても、重いタービンの回転慣性力で発電はシームレスに継続するので停電や周波数の乱れは発生しない。しかし太陽光や風力はタービンを使用せず直接電気信号としてとらえるので慣性の働きがなく、かつ発電も自然条件で逐次変動するため一瞬の途切れでも停電につながることが課題とされている。餘利野教授の考案されたSSIという新型インバータは家庭や企業と電力の需要家部分に設置することで疑似慣性が生まれて一瞬の停電や同期不安定を回避することができるという。地域マイクログリッドを安定化させる重要な要素となりそうであり注目される。

最後にコメンテーターとして当方が短時間ではあったが、ソーラーシェアリング(営農型PV)の紹介と地域マイクログリッド化において果たせる大きな役割について話した。
一般的に農家も行政窓口もいまだにソーラーシェアリング下での営農やその必要性について半信半疑な傾向が強いが、5年に及ぶソーラーシェアリング下での野菜栽培の経験からすると、遮光率33%以下でパネル高が3m以上の設備仕様であれば営農は問題できる。さらにここにきて日本の再生可能エネルギー導入の世界に比べた著しい遅れが目立ってきており、再エネの主力電源化が急務となっている。経産省も今年6月エネルギー強靭化法案成立のもと、地域マイクログリッドによる再エネと地域の共生に本格的に舵をきることで再エネ主力電源化を加速したい意向のようでもある。10月26日に世界に向け日本も2050年カーボンニュートラルを宣言したことで企業意思決定も一気に変わり始めるだろう。そんな中で、ソーラーシェアリングはSDGsの生物圏・社会・経済の各段階全ての目標とも相性が良く地方自治体としてもソーラーシェアリングを主軸に置くと、SDGs取組の行動シナリオがイメージしやすい。ちなみに東広島市の農地10%にソーラーシェアリングを設置しつつ、東広島スマートエネルギー株式会社がアグリゲーターとして地域マイクログリッドを立ち上げていけばSDGs未来都市への展望が開けてくる可能性が高そうに思われる。


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