ソーラーシェアリングを成長戦略の一つに掲げるウエストグループさんが「わくわくソーラーファーム」ご来訪。

2019年1月16日、新年を迎えてまだ日も浅く多少肌寒いこの日、株式会社ウエストエネルギーソルーションに代表されるウエストグループの皆様とJAの方々が、ここ東広島市の「わくわくソーラーファーム」のソーラーシェアリング視察に来られました。この時期、約800㎡のパネル直下の畑は夏場のような派手さはありませんが、それでも寒さに耐えて成長を続けるブロッコリーがあちこちで膨らみつつあり、出荷がはじまる状況となっています。

今回の見学で特に知っていただきたかったことは、ソーラーシェアリングが単なる発電施設ではなく、農家にとっては不可欠な農業施設として便利に使えることの実践状況でした。防虫や防鳥さらには防獣のためにパネル直下約800㎡を1ミリのネットで完全に囲ってあります。また支柱と筋交いの間に梁をかけた上で、畝に沿って2mの高さにビニールハウス用のパイプを這わせ、そのパイプに巻き付けたシュロ縄にフックをかけトマトの茎を自在に糸で釣り下げることができます。これらにより農作業が格段に楽になる仕組みです。これらは全て試行錯誤の末に個人のDIYで作り上げたものですが、もう少しプロ仕様で標準装備されたソーラーシェアリングがあると便利だろうと思われます。

現地見学の後、15分ほど車で移動し東広島市芸術文化ホールくららの会議室でセミナーと意見交換会を行いました。東京からのISEP環境エネルギ―政策研究所の特別研究員山本様の基本説明に続き、「わくわくソーラーファーム」の重家が3年間の稼働実績をもとに実践的な説明を行いました。質疑応答はその後の併設カフェでの昼食会でも活発に続きました。

さて、2019年は年初から再生可能エネルギーにかかわる大きなニュースが飛び交いました。
先ずは、2019年4月からのFIT(固定価格買取制度)の産業用太陽光発電買取価格が一気に4円22%下がって14円/kwhに決まったことが報道されました。従来の政府目標では2020年度に14円想定でしたので1年前倒しの大きなサプライズ引き下げでした。2番目は、ドイツの昨年2018年再生可能エネルギ―の発電量が総発電量の40%を超えたらしいことです。2005年の10.2%から6年後の2011年に20.3%、さらに5年後の2015年に31.5%、そしてわずか4年後の昨年2018年に40.4%を実現。産業界が急速に自然エネルギー対応型に変貌するなか経済も強靭さをましているようです。3番目は、日立製作所が建設コスト高騰による非経済合理性を理由に英国の原発建設凍結の意向を示したことです。これで日本の成長戦略としての海外への原発輸出は全滅したことになります。最後に、2018年度米国のシェールガスを主軸とする石油生産量が2位ロシアを抜いて世界一になったことです。それでも、化石燃料による二酸化炭素排出は米国に限らず世界各地で想像を超えて深刻な異常気象による被害を加速化していることを受けて、米国の企業や地域行政団体の間では自然エネルギー志向の意思は強く自然エネルギー100%実現の相手としか取引をしないRE100の動きや、石炭火力発電など非環境対応企業に対しては投資や融資をしないESGの動きが活発化しています。
※さらに遅ればせながら5番目として、1月26日ドイツの政府委員会が現在全エネルギーの35%を占める石炭火力を遅くとも2038年までに全廃することで合意、ドイツ政府も受入れ方向との報道がなされました。

今回見学にこられたウエストグループさんは広島で創業され住宅関係から太陽光発電へと展開する中で、現在は広島と東京の2本社体制のもと全国で67個所のメガソーラーを自社所有されている日本最大の再生可能エネルギー特化企業です。FIT買取価格が6年前の1/3近くまで急激に下げられるという自然エネルギー産業界にとっては非常に厳しい政策展開が続いています。同社はこの逆境のなかにあっても着実に時代の風を読みつつ、正に変化(Change)をチャンス(Chance)ととらえながら好業績を維持されているようです。日本の太陽光発電所の建設価格は高くドイツや中国など海外諸国の2倍近くともと言われています。それを反映した現在の割高な発電コストを10円/kwh以下にまで下げることが同社の成長戦略の一つです。これが実現すれば政策主導のFIT価格に翻弄されることもなく電力市場の中で自由な競争が可能となります。また、その自然エネルギーをローカル地域の主軸に据えつつ収益を地元で循環させながら水道・ガス・交通など生活インフラ全般を担う事業体への展開も視野にあります。これは昨今ドイツのフライブルグなど地方小都市を非常に元気にしているシュタットベルケといわれる地方活性化と自立の手法でもあります。

そこでからんで来るのが、今まさに日本の人口減少と高齢化で農地維持の危機に瀕している地方農業の問題です。その農地を地表と空中でハイブリッド活用することで農業に若者を引きつけ、食とエネルギーの地産地消を推進してお金ねの域内循環を高めつつ、持続可能で健康的な地方を実現する切り札ともいえる手法が営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)です。ウエストグループさんはソーラーシェアリングを同社の成長戦略の一つとして掲げられました。10年以内に着実に地方分散型のシナリオが動き始めないと都市集中型シナリオが否応なく進み、出生率低下、格差拡大、健康寿命低下、国民幸福感低下が避けられず、以後地方分散型シナリオの理想型には戻れないとの試算もあります。さらにその試算では地方分散型シナリオに乗ったとしても、地方の資金流出の最も大きな穴であるエネルギーの地産地消を実現したうえで、地域循環型の地域経済に移行できないといずれ財政的にも破綻するとの予想につながっていきます。そう考えると、今この数年のうちにソーラーシェアリングが日本の農業と地方再生の目玉としてどう普及するかが鍵ともいえます。

最後に、私の試算を付け加えておきます。ここ東広島市の人口は約19万人で戸数は85千戸です。この東広島市の農地7,300ヘクタールを所有する農家がその農地のわずか10%にソーラーシェアリングを設置すると、6千カ所の分散型発電所ができその総発電能力は30万キロワットとなります。それは東広島市のほぼすべての家庭の消費電力を賄い、生活用電力では自然エネルギ―100%の自立都市が誕生します。その結果、様々な産業連関効果に加えそれまで域外流出していた電力料金約93億円が毎年域内に留まることとなります。またこのソーラーシェアリング農10(農地10%)を全国で展開するとどうでしょう。業務用も含めた日本の総電力需要約8,000憶kwhの34%を賄うことができ、それは稼働時間調整後の実質発電能力で原発39基分に相当します。昨年中に自然エネルギー40%を実現したドイツには追いつけませんが、それに近い自然エネルギ―割合が早期に達成できます。しかも造成などによる環境破壊もなく農業と地域と日本と地球を元気で持続可能にする可能性を格段に高めながら・・・
そのために国は税金を投入する必要はなく、規制緩和と送電網を整備をすればよいだけです。そして私たち一人一人がエネルギーについて思考停止に陥ることなく、少しだけソーラーシェアリングの持つ意味について興味を持てば良いだけです。

今回の内容については、出張セミナーも可能ですのでご要望があれば、重家までご連絡ください。
わくわくソーラーファーム
重家雅文(Masafumi Shigeie)
Tel 082-439-2122
東広島市高屋町高屋堀1538-5