再生可能エネルギーの促進に向けた農地の利用についての内閣府会議資料に要望書が掲載されました

コロナに翻弄された2020年の暮れも押し詰まった12月25日内閣府の縦割り110番を受けて再生可能エネに関する規制等の総点検タスクフォース会議が河野大臣出席のもと開催されました。第二回となる今回は再生可能エネルギーの促進に向けた農地の利用について議論されました。その会議での議論に準備された参考資料の一部として当方が縦割り110番した提案が資料一覧に掲載されました。下記内閣府サイトの該当ページ資料最後の参考資料第2回の要望一覧①立地制約の2ページ頭(P2)と同一内容で⑤その他(P14)の頭に当方の要望が掲載されています。
第2回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース  会議資料

第2回再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース会議Youtube動画

内閣府規制改革チャンネルYoutube

要望内容は下記のとおり。
<提案事項>
小規模低圧営農型太陽光発電については規制強化ではなく、農家や地域のために規制緩和して欲しい
<提案の具体的内容>
1.今年から小さな農家は事実上営農型PVのFIT制度から除外されましたが、農業や地域への多様な効果を享受するためにも非認定農家等小さな農家にも再度営農型PVの活用が可能になるよう規制緩和してほしい。
2.FITへ復活が困難な場合、電力の地産地消を目指す地域マイクログリッド等地域活用電源に絡む小規模な非認定農家等の営農型PVをNonーFIT型営農型PVとして地方自治体裁量で設置可能となるよう規制緩和して欲しい
3.上記はいずれも当然に農業とPVの共存を目的とするので遮光率1/3以下でパネル高3m以上等汎用理想型設備仕様を条件に栽培作物の平均的単収8割維持基準準(強力な参入障壁)は是非とも外して欲しい 。
<提案理由>
1.低圧PVには自家消費要件がつくも営農型PVは認定農家等を条件に自家消費無しでもFITを維持したことは破格の優遇と受取れる。しかし当市6千戸農家の内認定農家は70戸程度で、しかも認定農家は自立的経営を既に実現のケースも多く今更営農型PVへのニーズが多いとは思えない
2.農家の大多数、特に中山間の小規模水稲農家等は赤字構造が定着、高齢化も進み後継者も望み薄。一方で山林や河川水路など中山間の多面的機能維持を引き受ける唯一の存在。SDGsでいう生物圏の循環維持ができないと災害や害獣など都市部の安心安全もない。営農型PV稼働5年の経験から小さな農業に魅力と収益力をつけ若者を呼ぶには営農型PVは千載一遇の機会ととらえるも非認定の小さな農家は営農型PVから除外では地域活性化の意欲も萎える
3.エネルギー強靭化法案成立や2050年ゼロ宣言で地域マイクログリッドが注目。PV発電コストは既に10円前後に下落し市場競争力も。FITにこだわらず地域マイクログリッドで電力の地産地消を進める中でNon-FIT型の営農型PVが可能ならそれでも良い。地域等で自立的に判断できる制度への規制緩和が求められる
4.営農型PV普及には平均的単収の8割維持基準が大きな障壁となっている。多くがこの規定で導入を諦め、導入後も栽培が日陰作物に偏向している。経験的に遮光率1/3以下でパネル高3m以上ならどんな作物も栽培可能。この汎用仕様を要件に現行8割維持基準を外せば、行政窓口や農家の悩みが激減する
5.以上もっと詳しくはこちらのURLでセミナでの説明が参照できます。
https://youtu.be/yH4oxsaOj78

ソーラーシェアリングの大幅な抑制改訂に関して小さな農家の立場での発言がほとんど見られない中で、小規模低圧営農型PVは小さな農家にとっても千載一遇のチャンスなので規制をゆるめて再度広く活用可能にしてほしい旨の要望です。提案理由の最後に、くわしい当方畑の営農型PV実態等と要望に関連するセミナー動画URL参照情報として記載もされリンク可能となっています。
また、後段に経済産業省と農林水産省の回答も併記されています。今回の回答内容で明らかになった注目点は下記です。

(FIT認定条件)
営農型太陽光発電設備は、FIT認定がなくても設置することができます。

この意味は、地方自治体の農業委員会が認めればNon-FITのソーラーシェアリングが設置可能であることを示唆しています。ここにきて経済産業省も地域マイクログリッドを推進しており、SDGs達成との絡みで地方自治体が各地の地域新電力をアグリゲーターとして活用しつつ、ソーラーシェアリングも取り込んだ地域マイクログリッドを立ち上げることも夢物語ではなくなったかもしれません。系統送電設備の託送料も比較的短距離の地域内であれば数円/kwhと安くなりつつあること、またブロックチェーンを活用した再生可能電源の地産地消マネジメントも可能となりつつあります。
2050年カーボンニュートラルの達成と地方分散による地域自立にむけて地方自治体がどこまで本気で取り組む覚悟があるか、正念場を迎えつつあるのでしょう。