ソーラーシェアリングのパネル回転角度と発電効率

2016年一年間の発電実績から回転式パネルの発電効果は確認できた。では一体、季節ごとあるいは一日の時間ごとの太陽高度とパネル角度は発電とどんな関係にあり、パネルをいつ何度の角度に設定したらよいのだろうか。
1年間の測定記録から出た結論は下記表の通り。なお、測定位置は北緯35度の広島県東広島市。
概ね各月中旬の快晴日を選んで測定しているが、快晴度合もいろいろで測定値の精度に多少のばらつきはある。

<月別発電ベストパネル角度>

 月  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 11 12
 ベスト角度  60度  55度  40度  30度  20度  10度  20度  25度  40度 50度 60度 60度
 春分  夏至  秋分 冬至

一般に野立ソーラパネルの角度は20度が多い。敷地面積に対してより多くのパネルを設置したい場合は影との関係で10度となる。多くのメガソーラーが10度だろうか。10度が発電ベストの月は夏至のある6月の一か月程度、20度がベストの月も夏場3〜4カ月程度で9月から翌年4月までの7か月間は40度以上の角度、特に11月から2月までの4か月間は60度という急角度が最も多く発電している。
回転式パネルの魅力は1カ月に一回程度の角度操作であっても10度から60度までのベスト発電角度をすべて確実にとらえられることにある。

<日中時間帯別・パネル角度別発電量比較と季節の関係>

 夏至6月 8時  9時  10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時
 60度 59  67  78  86  83  71  64  46
 50度 73  77  89  91  95  86  82  66  39
 40度 84  87  97  92  94  94  91  75  51
 30度 92  95  99  97  99  99  96  85  67
 20度 97  100  100  98  100  100  99  92  80
 10度 100  99  100  100  100  100  100  97  87
 00度 99  98  99  98  99  99  99  100  95
最大発電W 2265 3583 4028 4100 4078 3995 3867 3200 2343

 

冬至12月 8時  9時  10時 11時 12時 13時 14時 15時 16時
 60度 92 100 100 100  100  100  100  100  88
 50度 100  97  97  99  100  99  99  98  97
 40度 99  89  87  97  98  93  98  98  100
 30度 92  81  76  90  92  85  97  91  95
 20度 76  70  60  78  82  75  95  81  91
 10度 58  56  44  61  68  64  79  72  88
 00度 36  38 25  45 53  50  58  57  61
最大発電W 1900 3520 3695 4127 4085 3813 2318 1578 633

上記表は、6月夏至と12月冬至の時間帯別とパネル角度別の発電量をピーク時発電量を100としてパーセント表示したもの。夏至前後の夏場日中の太陽高度は80度前後で、パネル角度による発電量の差が比較的小さい。これに対し冬場日中の太陽高度は30度前後で、パネル角度60度余りのベスト発電に対して10度の場合は、その5割から6割しか発電していない。6カ月以上に及ぶ冬場を10度から20度で固定設置した場合の発電ロスは相当大きいといえる。しかも、表の下部最大発電ワット数の様に、日中の主要時間帯では冬場といえども夏場の発電量とほとんど差はない。なお、パネル設置方位は、影の分散目的で真南から11度東に向けてあるため、夏場午後後半のベスト発電パネル角度はマイナス(北向き)の場面も出る。

いずれにしても、回転式パネルの効果は10度の固定パネルに比べ年間合計で20%前後の発電量増となっていると思われる。パネル設置単価は、2012年の固定価格買取制度導入時に比べ5年後の今約26%程度下落した模様だが、買取価格は1kwh40円から今年の21円まで一気に48%引き下げられた。来年度は17円程度が目処とも言われている。パネル設置単価が世界平均に比べ異常に高い日本にあって、量産効果の十分な発現を待たず、また接続環境などの十分な整備を待たず、一方的に買取価格のみを引き下げて良質な新規参入さえも抑制されつつある。こうした中でのパネルの回転方式はささやかな抵抗だが心強い味方といえるだろう。

<回転式パネルの冬場積雪に対する効果>

パネルは回転式、冬場は60度、夏場は10度に設定で発電効率アップ

ソーラーシェアリングのパネル回転効果は冬場の積雪時にも実感することができる。以下実際に7センチ程度の積雪があった時の、屋根の余剰電力買取型と耕作放棄畑の野立て型そして今回稼働のソーラーシェアリングそれぞれの積雪後の発電状況の記録。回転式のソーラーシェアリングは前日から冬型対応で50度の角度に設定していたので、午前10時過ぎには大半の雪が滑り落ち、8台のパワコンがそれぞれ既に瞬時2kw以上の発電をしていた。一方、屋根の雪はパネルを全部覆ったまま、さらに野立パネルに至っては雪が3センチ近く積もったまま。当然発電していない。

夕方5時過ぎ、この日の発電結果は設備ごとに劇的だった。ソーラーシェアリングは昼前からフル発電状態。一方、屋根と野立は終日ほぼゼロ発電。夕方には相当の雪がとけたもののパネルの3割くらいを残雪が覆っていた。直流で連結されたパネル群はその連結途中の最も弱い部分の発電力によって影響されるので、結果として3割の雪が大半のパネルの発電を止めていた。氷化したパネルの雪は翌日も解けず、翌日の発電もほとんどゼロだった・・・

 

 

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