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広島大学の留学生がソーラーシェアリング見学に訪れました。

前日までの雨がやんで秋晴れの青空が広がり、庭のモミジが真っ赤に輝くなか、広島大学の長期滞在留学生たちが「わくわくソーラーファーム」のソーラーシェアリング見学にやってきた。
ラオスから3人と中央アジアのウズベキスタンから1人の合計4人。2人の留学生は大学での研究テーマがエネルギー関係ということもあり、皆さん初めてみる空中のパネルとその下の畑に興味深々な様子。先ずは改正FIT法の要請に沿って作り替えたばかりの表示パネルを見ながら設備概要を説明。

Q.「発電した電気は一旦バッテリに蓄えて農業用に使っているのか?」
A.「残念ながら、バッテリ蓄電はまだ行っていない。農業にはパネルの間から地上に落ちる太陽の光を活用している。ソーラーシェアリングは、同じ土地の上で太陽光の一部で発電をしつつ同時に残りの地上に到達した光で農作物も栽培するという二重構造の意味だ。」

Q.『パネルの影が随分見えるが、野菜の生育に問題はないのか?』
A.『ご覧の様に今はブロッコリーなどが育っている。基本的に遮光率が33パーセント程度以下なら何でも問題なく育つことが、昨年からの私の経験でも明らかだ。その理論的根拠については、あとでプロジェクターを使って説明する予定なのでお楽しみに・・・』

Q.『では発電した電気はどこをどう流れてどこに行くのか? 自宅でも消費しているのか?』
A.『発電した電気はパワコンで交流に変換した後、電気メーターを経由して基幹電力会社である中国電力に全量売電している。すなわち、ここから流れ出た電流は60メートル先の道路沿いの高圧電線に一旦乗り、水の流れの様に近い出口から近隣家庭の消費用に流れ込んで行く。この333枚のパネルで発電した電気は、この地域13戸の消費電力をほぼ賄っているといえる。エネルギーと食料の地産地消だ。「Locally produced, locally consumed」は移動ロスも少なく地域の安全と自立にもつながる。 』

Q.『自宅の屋根にもパネルがあるが、あの電気は自分で使っているのか?』
A.『屋根もこの畑と同様に、2011年の福島原発事故を受けて始まった固定価格買取制度 (FIT)によるものだ。屋根は7kwで日中発電した電力をまず自己消費した後、余剰があれば電力会社に10年間の固定価格で売却する仕組み。一方この畑は38kwの発電能力があり、10kw以上の産業用として20年間の固定価格で全量売電できる制度だ。』

その後、パネル回転用の手動レバーを操作して実際にパネル角度を水平や60度などに動かす体験をした。また、前日までの雨で大きくなり収穫間近の椎茸に歓声を上げる。
そして、椎茸ほだ木の上空に一枚はみ出したパネルから二本の配線がビニールハウスの中に伸びている先に注目。そこにはバッテリーチャージャーから軽トラ用廃バッテリーそしてインバーターへと配線された器具類が並ぶ。電力会社には繋がっていないオフグリッドの発電装置だ。インバーターの電源を入れると、数十メートル先の圃場中央の黄色い防蛾ランプが点滅するのを確認した。

夏野菜はとっくに終ったが、冬向けブロッコリーがやっと大きくなり始めている。その横の畝で、ホウレン草やレタスの小さな芽が少しだけ見えている。別の畝では、ミニトマトの名残が、パネルの支柱を活用した梁に設置したつりっ子につり下がっている。そのトマトの畝のところどころに黄色い大きな花が存在感を放ち皆の注目を集めた。トマトのコンパニオンプランツとして植えたマリーゴールドだ。その隣りの春向けイチゴとその生育に良い影響を与えるとされるコンパオンプランツのニンニクとの関係にも皆さん興味深げだった。そして畑の最後の出し物は、化学肥料に替えて使っているボカシ肥料の話。その効果と作り方にも質問が多く出た。もみ殻とヌカをアミノ酸酵素で発酵させて作ることを何とか伝え、ビニールハウス内に残っている現物を触って確認。

パネル下の800平方メートルの畑全体をビニールハウスの様にすっぽり囲っている一ミリ目のネットにも注目。鳥や害虫被害防止に効果があることに納得の様子で畑を後にした。
後半は自宅に移動し、プロジェクターを使ったセミナー形式でのより詳しい話の予定だが、その前に息抜きを兼ねて前庭のDIY枯山水など見学。さらに数日前から火を入れ始めたばかりの薪ストーブの赤い炎にも皆さん大喜び。これも再生可能エネルギーだ。
部屋の壁をスクリーンにパワーポイントで、ソーラーシェアリングの詳細や日本の農業との関係、再生可能エネルギーの現況と将来展望などに話が進む。

Q.『ここの畑PVのFIT買取価格は1kwh32円と消費税ということだが、一般の消費者の電気代は1kwh25円程度という。それでは電力会社が損を抱え込むということか?』
A.『FIT買取価格と電力会社の発電コストとの差額は最終消費者の電気代に賦課されている。この点は国民の納得が必要で、化石燃料より自然エネルギー選択のメリットが多いことを十分に理解する必要がある。一方で世界の太陽光や風力での発電コストはすでに化石燃料系の半分以下の1kwh5円程度に下がっており、FIT制度に頼らなくとも市場競争力を持って急拡大している。世界最大の自然エネ投資国となった中国がその例だ。FIT制度は飽くまで規模拡大とスキルアップによって設備コストが市場競争力を持つまでのインキュベータ的役割で一時的なものだ。残念ながら、日本での再生可能エネルギーの設備コストは高く世界の2倍ともいわれている。その設備コストを下げる環境整備が進まない中で、FIT買取価格は今年21円となるなど、このところ急速に下げられているので日本の再生可能エネルギー産業は今元気がない。』

皆さんの疲れを気にして途中で休憩提案するも、質問は途切れることなく夜のとばりが下りるまで続いた。留学を終えて国に帰ればそれぞれの国の未来に影響を与える方々なのだろうと思う。その熱意にこちらも元気をいただいて充実した一日だった。下手な説明が多少なりともお役に立つことを願うばかりだ。

Earth Journal (アースジャーナル)に写真と記事が掲載されました

サステイナブルな「食」と「エネルギー」を主要テーマとするEarth Journal(アースジャーナル)の2017年10月ソーラーシェアリング特集号に私たち「わくわくソーラーファーム」の記事が2ページにわたって掲載されました。また、目次の背景写真にも採用されています。
全国の書店で経済雑誌系の棚に並んでおりますが、見当たらなければこちらEarth Journalのサイト
からネット購入もできます。

まるごとわかるソーラーシェアリング入門書と銘打ったこの特集号では、ソーラーシェアリングの基本的考え方や全国の実践農場の事例、導入方法の手順、日本のエネルギー政策におけるソーラシェアリングの役割など幅広く理解できる内容となっています。

農水省の通達で第一種優良農地でも設置可能となった2013年度のソーラーシェアリング設置件数は全国でわずか97件でした。その後毎年300件前後増加して2016年度で累計1000件を超えています。
当初は、遮光下で本当に農作物が育つのか多少不安が交錯していましたが、ここにきて様々な農作物が問題なく生育することの栽培実績が多く蓄積されてきています。当「わくわくソーラーファーム」でも、積極に様々な野菜の栽培にチャレンジし、近隣のSC産直コーナーで販売してきました。
その栽培実績に加えてソーラーシェアリングの支柱や梁の様々な活用方法の開発とネット通じた情報開示が評価されたものと思います

この特集号を契機に、ソーラーシェアリング実践者の輪がより大きく広がって、農家と地方と日本が元気になっていくことを願っています。